AP22春後問1

AP22春後問1

応用情報技術者試験平成22年度春午後問1

 企業の経営分析に関する次の記述を読んで,設問 1 ~ 4 に答えよ。

〔Y社の概要〕

 資本金 5,500 万円,年商約 35 億円の外食チェーン Y 社は,首都圏に 23 店舗のイタリア料理店を展開している。外食産業は業績の低迷が続いているが,Y社は,吟味した食材を使った料理を手ごろな価格帯で提供することで,売上を順調に伸ばし,過去 3 期連続で増収増益を続けている。昨年度は 5 店舗を新規に開店させ,現在,セントラルキッチンの拡張工事を計画している。

 Y 社では,業績が好調なうちに経営体質の問題点を特定し,解決しておくために,経営分析を実施することにした。Y 社の貸借対照表と損益計算書を表 1,2に示す。

表1 賃借対照表

単位 百万円
勘定科目 2008年度 2009年度 勘定科目 2008年度 2009年度

流動資産
 現金及び預金
 売掛金
 原材料
 仕掛品
 その他流動資産
固定資産
 有形固定資産
 無形固定資産
 投資等


132
85
15
11
2
19
585
360
5
220

166
107
19
14
5
21
708
450
18
240

流動負債
 買掛金
 短期借入金
 その他流動負債
固定負債
 長期借入金

430
150
210
70
190
190

550
190
280
80
180
180
負債合計 620 730

資本金
法定準備金
未処分利益
 (うち当期利益)


55
8
34
(20)

55
8
81
(55)
資本合計 97 144
資産合計 717 874 負債・資本合計 717 874


表2 損益計算表

単位 百万円
勘定科目 2008年度 2009年度

当期売上高
売上原価
売上総利益
販売費・一般管理費
営業利益
営業外収益
営業外費用
経常利益
特別損益
税引前当期利益
法人税等
当期利益


2,590
1,640
950
860
90
4
1
93
▲64
29
9
20

3,540
2,450
1,090
960
130
3
2
131
▲11
120
65
55

〔経営分析とその評価〕

 経営分析は,収益性・安全性・生産性の 3 点から実施し,経営分析のための指標を表 3 のように計算した。

表3 経営分析指標








  2008年度 2009年度

総資本対経常利益率(%)
総資本回転率(回)
固定資産回転率(回)
売上高対総利益率(%)
売上高対経常利益率(%)


13.0
3.6
4.4
36.7
3.6

15.0
4.1
5.0
30.8
3.7








  2008年度 2009年度

流動比率(%)
当座比率(%)
固定長期適合率(%)
固定比率(%)
自己資本比率(%)


30.7
23.3
203.8
603.1
13.5

30.2
22.9
218.5
491.7
16.5








  2008年度 2009年度

労働生産性(円/時間)
労働装備率(千円)
1 人当たり売上高(千円)
1 人当たり雑収入高(千円)


1,890
430
3,100
2,200

1,950
480
3,800
2,700

 これらの情報などを基に,2009 年度の経営分析結果を次のようにまとめた。

  • 収益性分析の結果は,おおむね良好である。特に総資本額が 22 %増加したにもかかわらず,総資本回転率が 0.5 回向上したのは,[ a ]が貢献した結果である。

また,売上高対総利益率は,原材料の高騰の結果低下したが,そのほかの収益性指標は向上しており,特に [1] 売上高対経常利益率が向上した点が評価できる。

  • 安全性分析の結果には問題がある。固定長期適合率が極めて[ b ]水準にある点である。ただし,流動比率は極めて低い水準にあるものの,受取手形がなく,[ c ]ので,流動資産の回収に問題が生じても影響は小さく,短期支払能力指標が示すほどには低い水準ではないといえる。
  • 2009 年度における有形固定資産の増加は,新規開店に伴うものであったが,固定長期適合率に大きな変化はなかった。一方で,長期借入金が若干減少し,短期借入金が増加した。これは,本来長期に利用可能な資金によって賄うべき設備投資を,[ d ]と短期借入金とで賄っていることを示しており,健全な財務構造とはいえない。
  • 新規開店に伴う人員増を最低限に抑えた結果,生産性分析では,各指標とも 2008 年度に比べて向上した。しかし,同業他社と比較した場合,従業員1人当たりの売上高や粗収入高が見劣りしている。[ e ]などによって,生産性の一層の向上を図る必要がある。
〔キャッシュフロー計算書の作成と分析〕

Y 社は,財務の安全性に問題があるとの認識の心と,キャッシュフローを分析するために,キャッシュフロー計算書を次の方針で作成することにした。

(1)直接法と間接法のうち,間接法によって作成する。

(2)フリーキャッシュフローは,“営業活動によるキャッシュフロー+投資活動によるキャッシュフロー”で計算する。

(3)キャッシュフロー計算書とフリーキャッシュフローは,過去 3 期分を作成・算定して,トレンドを分析する。

 過去2期分のキャッシュフロー計算書と過去3期分のフリーキャッシュフローは,それぞれ表 4 と表 5 に示すとおりである。[2] これらから,新たな問題・課題を抽出することができた。

表4 キャッシュフロー計算書

単位 百万円
 2008 年度2009 年度


I  営業活動によるキャッシュフロー

  税引前当期利益

  減価償却費

  売上債権の増減

  棚卸資産の増減

  その他資産の増減

  仕入債務の増減

  その他負債の増減

  法人税等の支払額

     合計

II [ f ] によるキャッシュフロー

  有形固定資産の増減

  無形固定資産の増減

  その他資産の増減

     会計

III [  ] によるキャッシュフロー

  借入金の増減

  資本金の増減

  配当金支払額

     合計

IV 現金及ぴ融同等物の増減

V  現金及び現金同等物の期首残高

VI 現金及び現金同等物の期末残高





29

41

▲15

3

▲2

10

38

▲9

95


▲130

▲1

▲44

▲175


89

0

▲1

88

8

77

85



120

46

▲4

▲6

▲2

40

10

▲65

139


▲136

▲13

▲20

▲169


60

0

[XXXXX]

[ h ]

22

85

107



注 [XXXXX] には,特定の数値が入る。


表5 フリーキャッシュフロー

単位 百万円
年度金額
200714
2008▲80
2009▲30

設問1

 本文中の[ a ],[ b ],[ d ],[ e ]に入れる適切な字句を解答群の中から選び,記号で答えよ。

解答群
ア 販売費・一般管理費の増加
イ 売上高の増加
ウ 運転資金の増加
エ 買掛金の減少
オ 自己資本の増加
カ 高い
キ 中途採用の拡大
ク 低い
ケ 福利厚生の充実
コ レイバースケジューリングの工夫

設問2

(1)本文中の[ c ]に入れる適切な字句を 25 字以内で述べよ。
(2)本文中の下線[1]が実現できた理由を財務諸表から読み取り,30 字以内で述べよ。

設問3

(1)表 4 中の[ f ],[ g ]に入れる適切な字句を答えよ。
(2)表 4 中の[ h ]に入れる適切な数値を答えよ。

設問4

 本文中の下線[2]に該当する問題・課題を解答群の中から二つ選び,記号で答えよ。

解答群
ア 2009 年度の営業活動によるキャッシュフローが 2008 年度に比べて増加していることから,Y 社の現在の財務構造に問題がないと判断できる。
イ 財務活動によるキャッシュフローから投資活動によるキャッシュフローヘの資金の流れが認められる。このような財務構造においては,長期資金が増加していない点に問題がある。
ウ 投資活動によるキャッシュフローがマイナスになっているので,設備投資が過多になっていると判断すべきである。
エ 投資活動によるキャッシュフローのマイナス分の大半が,財務活動ではなく,営業活動によるキャッシュフローによって賄われている構造は,好ましい状態ではない。
オ フリーキャッシュフローが 2 期連続してマイナスになっているので,セントラルキッチンの拡張工事の延期を検討する必要がある。


問題掲載者による注意書き

  • 実際の問題文中では,下線[1]と下線[2]は,○の中に1,2がそれぞれ入っている表記だったが,機種依存文字のため,丸1,でなく[1]として置き換えました。
  • また,[ a ][ b ][ c ] 等は,四角で囲まれていましたが,テキスト表現をするため,[ ]で置き換えました。
  • 新履歴
    • 2010/05下旬:テスト的に掲載(表は,画像として掲載)
    • 2010/06/22 :表を,HTML形式に修正